若くて元気な若者も、今日生まれたばかりの赤ちゃんも、いずれは年老いていくものです。
できればテレビでよくみる元気なおじいさん、おばあさんになりたいですし、ピンピンコロリと生涯を終えたいと誰しもが思っています。
しかし何かの拍子で、元気だったお年寄りが『元気』を失ってしまうことって残念ながらあるのが現実です。
ご家族が『要介護状態』になった時、施設入所を考えなくてはいけなくなった時が急に来てしまう方がほとんどです。
「まだまだ先の話」と思っている方にこそ読んでいただきたい。
難しい言葉を使わず『老人ホーム』について記事にしました。
年老いた時や介護が必要になった時の不安や疑問を解決する、『一つのヒント』になると思います。
特養ってなに?
『とくよう』ってよく耳にしますね。
正式には『特別養護老人ホーム』といい、『特養』は略称。
介護施設は特養以外にも
『ろうけん』が有名ですね。
『ろうけん』は『介護老人保健施設』の略です。
ちなみに、特養は『介護老人福祉施設』とも言います。
ややこしいですね。
簡単にいうと、
老健はリハビリをして在宅復帰を目的とする場所で
特養はリハビリをしない「おうち」(生活の場)となります。
よく耳にする『とくよう』『ろうけん』ですが、役割が全く違います。
老人施設って他にはどんなところがあるの?
特養、老健、以外にも施設はいろいろあります。
・サービス付き高齢者向け住宅(略して『サ高住(さこうじゅう)』)
・有料老人ホーム(略して『有料』)
・養護老人ホーム
・軽費老人ホーム(『ケアハウス』ともいう)
・認知症高齢者グループホーム(『グループホーム』、『グルホ』ともいう)
・介護療養型医療施設(いわゆる『療養病院』)
…と、いろいろ種類があり、それぞれ役割や特徴があります。
在宅介護が厳しくなった時、有名どころの『特養』『老健』だけを検討することなく、これらの施設がどんな施設で、どんな特徴があるのかよく調べて、ご入所される方にあった施設を見つけることをお勧めします。
ご入所されてから「こんなはずじゃなかった」と思う方も時々いらっしゃいます。
要介護状態になった時には忙しくて考える時間がない方がほとんどです。
まだ施設に用はない状態の時から『介護』について考えておくと慌てずに済みます。
”ピンピンコロリ”と逝く人ばかりではないこと、
歳はだれでも取ること、
介護する側・される側に、いつ、誰がなってもおかしくないこと。
このことをしっかり考え、今から備えておきましょう。
備えあれば憂いなし、です。
老人ホームの選び方
一言でいえば「担当ケアマネジャーさんにご相談ください」です。
…といったら元も子もないですね。
ケアマネジャーさんは『介護支援専門員』という資格ですので、介護支援のプロであり軸となる方です。
ケアマネジャーさん以上のアドバイスは私にはできません。
その中で僭越ながら私なりのアドバイスを敢えてさせてもらうとしたら
ご本人の状態を客観的に判断・理解し、状態にあったところにご入所する
ということです。
いくつか具体的事例をご紹介します。
グループホームは認知症の症状を有する方が入所する介護施設で、介護スタッフのサポートを受けながら家事等を行いながら共同生活をします。
『一緒に行えばできる』というのがポイントだと思います。
認知症があっても、心と体が元気だと「役に立ちたい」と思っていらっしゃいます。
「出来ないかもしれない」という不安の中にいる認知症の方にとって、依頼した軽作業が無事に出来、一緒に軽作業を行ったスタッフから「ありがとうございました!助かりました!」と言われた時の安堵し満足した表情、にっこり笑っている姿を見ていると、認知症になっても人との関わりの大切さや、自尊心を大切にする事の重要性を感じます。
このケースの場合は『ご本人にリハビリを継続したい気持ちがある』というところがポイントだと思います。
仮に、同じような病状でも、『リハビリを継続する気持ちがない』場合で、在宅での生活が難しい場合は、麻痺や介護度にもよりますが特養なのかもしれません。
病院には『医療相談室』という場所があり、『医療相談員(メディカルソーシャルワーカー)』という方がいらっしゃいます。
医療相談員さん、または担当ケアマネジャーさんに相談してみましょう。
サ高住は、介護スタッフが常駐しており、安否確認(介護スタッフが定期的に巡回しご入居者の状況を確認する)や生活相談を受けられます。また、施設ごとに追加サービス(例えば食事提供サービス)も受けられます。サービスは必要に応じて受けることができまが、施設によってサービス内容はそれぞれですので、どのようなサービスを受けられるのか?料金はいくらなのか?等、事前によく確認しておきましょう。
簡単ですが、具体例をお読みいただき何となくイメージできてきましたか?
『老人ホーム』という大きな枠組みの中に、役割別にいろいろな老人施設があることを理解していただけましたでしょうか?
次は、具体的に特養に入るためにはどうしたらいいかお話します。
特養に入る人ってどんな人?
『特養』に入るには何か特別な条件が必要なの?
…と疑問に思いますよね?
簡単に言うと
『要介護3以上』の方となります。
じゃあ、要介護2の人は入れないの?
…という疑問が出ますね?
介護2でも入れるんです。
何が何だかわかりませんね。
しくご説明します。
『介護度』ってなに?
介護保険では、ご本人の介護が必要な度合いを全部で7段階に分けています。
い順に、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、要介護5
となります。
『要支援』の方たちは、基本的に日常生活をほぼご自身で行えるが、一部支援が必要な方です。現時点では介護は必要ではないが、このまま年月が経過すると要介護状態になることが予想される状態の事です。
要介護の状態にならず自宅での生活を送り続けられるよう、運動機能向上、栄養改善などを目的とし『介護予防サービス』を受けられます。
『要介護』とは、日常生活動作を自分で行えることが困難で、何らかの介護を要する状態をいいます。
特養に入れる『要介護3』はどういう状態なのでしょうか。
調べてみると、日常生活全般において介助が必要な状態で、自力で立ち上がれない、着替えに介助が必要で、理解力の低下もみられる、とあります。
介護度を得るには『要介護認定』を受ける必要があります。
介護認定を受けたことがない方は、ご自身が住む役所の『高齢介護課』『長寿課』『介護保険課』などの窓口にて相談してみてください。
申請をし、調査を受け、認定が下りる、…という流れになります。
特養って待機者が多くては入れないんじゃないの?
特養は常に申込者がいる、待機者がいる、と思っていただいてほぼ間違いないと思います。
しかし、かつての、何十人待ち、何百人以上待ち、という状態はかなり解消されているのではないかと思います。
理由は2つ。
要介護3以上でないと入れなくなった事と、特養自体の数が増えた事、だと思います。
東京都内は人口が多いのにも関わらず、特養の数が増えにくい(広い土地が確保できない、地価が高い)ため、今もかなりの激戦と聞いています。
特養の入所の順番は申し込み順ではなく、介護の必要な方から(介護度が高い方から)となります。私の一個人の肌感としては、申し込んだ施設の状況にもよりますが、要介護5、要介護4の方は、以前のように「いつまでたっても入れない」という状況ではなく、比較的早めにお話が進むのではないかと思われます。
要介護2,要介護1の方でも、保護的な入所や、認知症の症状の悪化にて『特例入所』される方もたまにいらっしゃいます。
申し込んだ施設にもよるとは思いますが、申込み書提出から入所まで、最低でも10日以上はかかると思います。担当ケアマネジャーさんとよく話し合い、必要に応じて入所に向けて動き始めましょう。
まとめ
特養とは
・基本的にはリハビリを行わない生活の場
・要介護度3以上の方が入所される
・老人ホームはいろいろな種類があり、それぞれ特色や特徴、役割があるので、入所される方の状態に合う施設に入所することが望ましい。
★ 補足 ★★
一度入所したら未来永劫出れない、ということはありません。
今の状況はサ高住がいいと思うけど、状態が変わったら特養へ入所する、という方も多くおられます。
この記事をお読みになった方が、老人ホーム(特に『特養』について)少しだけでもお分かりいただけ たら幸いです。
これから書き記す内容は、 『管理栄養士から見た特養』 であり、 特養も施設により方針が違うため、この内容がすべて正しい、というわけではないことを前提に読んでいただきたいと思います。
家族が『要介護状態』になった時,施設入所を考えなくてはいけなくなった時 入所後の不安や疑問を解決する、『一つのヒント』になると思います。
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