家庭内で『災害時訓練』やってますか?
最近は、地震や水害だけでなく、ゲリラ豪雨の落雷による停電にも備えが必要です。
9月1日は『防災の日』です。
- 防災グッズの点検
- 非常食の確保
- 避難場所の確認
- 家族間の連絡方法の確認
をしましょう。
それと同時に、災害時(特に停電時)に対応できる調理技術の習得をしませんか?
冷蔵庫に入っている食材や、缶詰などの食品のストックを有効に使えるよう、事前に訓練しておきましょう。
備えあれば憂いなしです。
【この記事を書いた人】
tanu(たぬ)
現役の管理栄養士。30年以上現場の栄養士として働き、知り得た情報や知識を分かりやすく発信するサイトの管理人。
社員食堂(総食数3000食/日)、総合病院、仕出し弁当、スーパー総菜、障がい者通所施設、セントラルキッチン等経験し、2008年より特別養護老人ホームで就労中。
管理栄養士名簿登録年月;平成8年11月(管理栄養士名簿登録番号 7****号)
パッククッキングって何?
『パッククッキング』という言葉はご存じでしょうか?
アウトドア好きの方はご存じかもしれません。
いわゆる『湯煎調理』です。
農林水産省のホームぺージでも取り上げられています。
水道が使えない状況では、水はとっても貴重品。でも、料理に使ったりして体に摂取する以外に、茹で湯として使ったり調理器具を洗ったりと、普段何かと使う場面は多いはず。そんな水を節約できる調理方法が「パッククッキング」です。
農林水産省HPより
やってみると案外簡単ですので、やってみましょう。
パッククッキング・用意するもの
今回は、カレーライスと副菜1品(ナスのうま煮)を作ります。
【道具】
- カセットコンロ
- カセットボンベ
- なべ
- 耐熱性のポリ袋
- 陶器の皿
※必ず耐熱温度を確認しましょう。
パッククッキング・ご飯を炊く準備(1人分)
①お米を0.5合と、水0.5合を計ります。
②ポリ袋に、計ったお米と水を入れます。
③空気を抜き、ビニルの口をしばります。(膨張することも想定し、上の方でしばる)
④30分間放置し、しっかり水を吸わせます。
★1合=180㏄=お米は160gです。
★お米1合で炊きあがりのご飯は330gほどです。
★無洗米でなくても作れます。30分水に浸すとぬか臭さは無くなります。
水の分量は、お米:水=1:1です。無洗米の場合、水は少し多めの方が美味しく炊きあがります。
今回はお米80g、水100㏄で作りました。
パッククッキング・カレーの準備(1人分)
【材料】
- 大豆ミート 30g
- 玉ねぎ 1/4個(60g)
- にんじん 30g
- カレールー 1片
- 水 箱に記載されている分量通り(今回は125㏄)
①玉ねぎは小角、にんじんは小さめのいちょう切りに切っておく。
②カレールーは、指で押しつぶす、包丁で細かくする、などを行い、溶けやすくしておく。
③すべての材料をポリ袋に入れて、お米同様に空気を抜いて口をしばります。
パッククッキング・ナスのうま煮の準備(1人分)
【材料】
- ナス 70g
- 和風だし顆粒 少量
- しょうゆ 小さじ1/2
- 水 50㏄
①ナスは適量(今回は長ナスを1/3程度使用)、一口大にカットしておく。
②ポリ袋にナスと調味料を入れ、お米同様に空気を抜いて口をしばります。
準備が整いました。
調理にとりかかりましょう。
パッククッキング・調理方法
①鍋に一回り小さい陶器の皿を入れ、水を7分目程度入れます。
※今回は、直径19.5㎝の鍋と、15.5㎝の皿を使用、水は800㏄使用しました。
②着火前のまだ水の時点で、準備したお米、カレー、ナスを入れます。
※ポリ袋の口の部分も鍋の内側に入れます。
③沸騰するまでは中火の強火にし、沸騰したら、沸騰状態を維持できる程度に火を弱めます。
※火加減はこれくらい(中火の弱火程度)です。
④沸騰してから20分ゆで続けます。
⑤火を止めて10分間放置したら出来上がりです。
30分浸して→20分ゆでて→10分放置、です。3、2、1、で覚えやすいですね。
パッククッキング・盛り付け
出来上がった物を見てみましょう。
①ご飯
・出来上がり量は175gでした(約2倍になります)。
②カレー
・湯せんから出したばかりだと、ルーがなじんでいないので、タオルで包んでよくもみ、ルーを全体になじませましょう。
※やけどには十分注意をしてください。
③ナスのうま煮
・問題なく加熱調理が出来ました。
災害時は食器に盛り付けず、ポリ袋のまま食べると洗い物が出なくていいですね。
パッククッキングの注意点
とても簡単なパッククッキングですが、いくつか注意点があります。
フリーザーバッグは使わない
フリーザーバッグは厚手で丈夫です。
耐冷温度はー30度と、業務用の冷凍庫でも耐える強さを持っています。
しかし、熱には強くはありません。
熱に耐えきれず、加熱中に一部破損してしまいます。
結果が分かりやすいよう、食紅を溶かした水でパッククッキングをやってみました。
ご飯が赤くなっている部分が、袋が破損し、ゆで汁が袋の中に入ってきた場所です。
パッククッキングに使うポリ袋は、必ず耐熱性の物を使用してください。
清潔な水が不足している場合
災害時、同時に断水してしまうことも多くあります。
その際は、清潔な水は飲料水に回し、お風呂の残り湯などをゆでる用の水として使用できます。
その場合は、二重袋にしてください。
こちらも、食紅を溶かした水で実験してみました。
最初の写真は、二重袋にしてパッククッキングしたご飯を、ゆでる用の水から引きあげた直後のものです。
ゆでる用の水が汚れている場合、このようにポリ袋に汚れが付着します。
下段の写真は、その外袋と内袋です。
当たり前ですが、内側の袋は、全く汚れず、濡れず、の状態です。
清潔な水が不足している場合や、ゆでる用の水を使い回さなければいけない場合時は、衛生的な観点から、二重袋をおすすめします。
油の大量使用は避ける
油を多く使用すると、調理中にポリ袋内の温度が高温になり、ポリ袋が破けてしまう可能性があります。
酒蒸しやオイル蒸しのような調理方法は不向きです。
とがっている食品は避ける
生のカボチャや、貝類など、硬い食品やとがっている食品は、ポリ袋の破損につながります。
カボチャは面取りをしてから使用し、貝殻はパック調理には使わないようにしましょう。
袋に入れる分量は多くて2人分
湯煎調理ですので、袋に大量に材料や水分が入ると、正しく加熱調理ができません。
不完全な加熱調理は、安全性に欠け、味も悪いです。
一つの袋には基本的には1人分を入れましょう。
多くても2人分です。
おすすめ防災備蓄食品
こちらの商品は、アルファー米を使用している為、保存期間が5年と長いのが特徴です。
お湯を注ぐだけで温かいご飯が食べられるものです。
お湯が手に入らない時は水でもOKの商品です。
味付けはやや濃いめ。
災害時の強いストレス下ではちょうどよい味付けかもしれません。
食のプロが対象の展示会でも評判になりました。
パンの缶詰も、今や有名な防災備蓄食品です。
ボローニャは、京都・祇園発祥のデニッシュパンで有名なパン屋さんです。
1缶にマフィンカップに入ったデニッシュパンが2個入っています。
もちろん缶切りは不要です。
賞味期限は、3年6ケ月と、こちらも長期保存可能商品です。
最後に、おやつの詰め合わせです。
災害時に受ける、大きなストレスを緩和してくれます。
小さいお子さんがいるご家庭はもちろんのこと、お子さんがいないご家庭でも、備蓄しておいて良かったと思う商品です。
賞味期限は、3年~5年3ケ月です。
農林水産省では『ローリングストック』を推奨しています。
ローリングストックとは、お米やパスタ、レトルト食品、缶詰など、日常的に使用できる食品を一定量備蓄しつつ、常に新しい食品と循環していく方法です。
詳しくはこちらをご参照下さい。
まとめ
今回は、災害時に使える調理技術の『パッククッキング』についてでした。
パッククッキングのやり方をおさらいしましょう
- ご飯を炊くには、生米と水を、1:1で計量する。
- 30分水に浸し、20分間ゆでて、10分間放置する。
- カレーの野菜は火が通りやすいよう、普段より小さめに切る。
- 加熱調理後は、やけどに注意しながら、袋の外側からよくもみ、ルーをなじませる。
次に、パッククッキングの注意点をおさらいしましょう。
- 耐熱性のポリ袋に材料を入れる。
- フリーザーバッグは使わない。
- 清潔水が不足している際は、二重袋で調理する。
- 油の多い調理方法はやらない。
- とがっている食品は面取りをしてから使用する。
- 1袋には基本1人分のみ。
パッククッキングは、やり方さえ覚えてしまえば、今回のレシピ以外でも応用が可能です。
自治体のホームページでもレシピが紹介されています。
合わせてご覧ください。
パッククッキングのやり方を習得し、ローリングストックを意識した食品備蓄と、災害備蓄食品を確保していき、いざという時でも、大切な家族を守りましょう。
最後までお読みいただき有難うございました。
こちらの記事が、少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。
コメント