特養の生活

特養

特養に入所するとどんな生活なのか?

入所前に気になりませんか?

そんな疑問を解消しましょう。

ネイティブ記事内

どんな資格の職員がいるの?

その施設によって違いはありますが、施設運営をする中で、役割や職種をご説明しましょう。

・施設長…施設の責任者

・生活相談員…(社会福祉士や社会福祉主事、ケアマネジャー等が担当)入所前から退所するまで、ご家族や入所者の相談窓口、入退所の調整等

・ケアマネジャー…(介護支援専門員が担当)施設ケアプラン作成(施設ケアプランとは、個人別のニーズに合わせたサービスを提供できるよう計画する計画書のこと。歩行の機会を多く設けるなど)

・看護師…入所者の健康管理

・作業療法士、理学療法士、言語聴覚士…リハビリ(配置義務がない為、配置していない施設も多い)

・介護職員…(介護福祉士、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)等)入所者の身体介護

・管理栄養士…入所者の栄養管理と給食業務全般

・その他…事務職員(施設利用料等請求業務、施設内の物品管理)、営繕(施設設備修繕等)、清掃、厨房スタッフ

  

このようになっています。

あれ?医師はいないの?

…とお思いになった方もおられるかと思います。

『特養ってどんなところ?』でお伝えしたように、特養は『生活の場』です。医師の配置はありません。まれに、医師が施設長をやっているところもありますが、かなり珍しいです。

医師は『嘱託』という形で、週に1回往診という形で来てくれます。

ただし、検査の機械は何ひとつ無い特養に往診に来る、という形ですので、病院に受診する時と同じように考えてはいけないことは言うまでもありません。

一日どうやって過ごしているの?

具体的にどんな一日を過ごしているか、一例をあげてみましょう。

6:00  起床(起床後、更衣、トイレ、水分摂取、談話等)

8:00  朝食

9:00  自由時間(入浴日であれば入浴)

10:00 水分摂取、トイレ

11:00 ラジオ体操、レクリエーション等

12:00 昼食

13:00 自由時間(昼寝、趣味の時間、レクリエーション、クラブ活動、ボランティア鑑賞等)

15:00 おやつ、水分補給

15:30 ラジオ体操

18:00 夕食

20:00 就寝

おおまかに、このような一日を過ごされます。

身体だけが動きにくく、常に介助が必要だが認知症ではない方も入所されており、そういう方々はクラブ活動に参加したり、施設内で知り合い仲良くなった方達や職員と談笑したり、ご自身の趣味の読書や編み物をされている方、日々出る洗濯物をたたむ作業のお手伝いをして下さる方もおられます。ご高齢になると体が疲れやすくなるので、ご自身のペースでゆっくり過ごされています。

ボランティアの演奏の鑑賞等も定期的に行われますし、お天気が良い時は散歩に出かける時もあります。

このように、特別な事が少ない『生活』を送っています。

  

このスケジュールを知り、「すごく暇そうで可哀そう」と思われる方もいるかもしれません。

でも、私が感じる『可哀そう』は、『暇な事』ではなく『つらい事』だと思うのです。ご高齢になり、身体が不自由になっただけでもつらいのに、そのつらさに耐えなければいけないうえに、人に冷たくされることの方が『可哀そう』だと思います。

「それにしても暇すぎだ」と思われる方がいらしたら、その方にとって特養はまだ早いのかもしれません。

安心して暮らせるよう、介護スタッフ(施設職員全体)は、入所者に対して優しく接しています。どうかご安心ください。

特養の食事

特養の食事って、病院の食事みたいなの?と思われる方も多くおられると思います。

施設の考え方や運営方針、施設で働いているそれぞれの管理栄養士の考え方等で違いはありますが、特養の栄養士が口々にするのは「特養は病院じゃないから」という言葉です。

何度も申しあげている通り、特養は生活の場であり、言うなれば『お家』です。

逆に病院は『治療の場』なのです。

『給食提供者』という同じ立場ですが、役割が違います。

治療の場である病院は、食事は治療の一環であり、食教育の場でもあるのです。具体的に説明すると、心臓病で入院している方は減塩食に慣れていただき、退院後も病院で提供されていたような食事をすることで心臓病の再発防止に繋がります。

特養は生活の場ですので『おいしく食べる』が基本です。

いくらバランスの取れた完璧な献立を立てて提供しても、実際食べていただけなければ全く意味がありませんし、何より『食べることは生きること』ですので、入所者に食べてもらえる食事を作って提供することが責務となっており、病院の食事とは似て異なるものです。

  

毎日同じような献立では飽きてしまいますし、給食の役割として「食を通して季節感を味わう」というものがあります。

献立の内容は違えど、『季節の行事食』はどの施設でも行っていると思います。

又、『選択食』も珍しくありません。

選択食の頻度は施設によって違うと思いますが、肉か魚か選べたり、パンかご飯かを選べたりします。入所を希望している施設がどのように給食を運営しているかも入所前に聞けると、入所後のイメージがより鮮明にイメージできるかもしれませんね。

介護食

それでは具体的にどのような食事が提供されるのかお教えしましょう。

地域の研修で、他の施設の管理栄養士さんとお話することもあり知り得た情報の中でお話すると、施設によっては呼び方が違ったりもしますが、おおよそどこも似た感じではあります。

・常食…一般食

・軟菜食…柔らかい食材や調理法にて調理したもの、または一口サイズで食べやすいもの

・刻み食…みじん切り

・ソフト食…スプーンで押しつぶせるくらい柔らかく加工した食事、または出来上がった料理をミキサーにかけて一度液状にし、ゼリーのように固めたもの

・ペースト食…出来上がった料理を一度ミキサーにかけ液状にし、トロミ剤を使用してまとまりをつけたもの

という種類が一般的だと思います。

主食の方も、ご飯、軟飯、全粥、分粥(七分粥、五分粥など)、ミキサー粥、ゼリー粥、パン、パン粥

が一般的だと思います。

食事を安全に召し上がっていただけるよう、入所者の体調や飲み込みの状況によって食事の形態は変更していきます。

食欲がなく、栄養補助食品が常時必要な方や、病院から退院後も食事療法が必要な方は、対応可能な範囲が施設によって違いますので、施設にお問い合わせください。

行事食

一般的に、毎月1回は季節の行事食やイベント食を提供します。

1月…おせち料理、七草がゆ、鏡開き

2月…節分

3月…ひな祭り

4月…花見弁当

5月…母の日、こどもの日

6月…父の日

7月…七夕、土用の丑の日

8月…お盆、第二土用の丑の日

9月…敬老の日、十五夜

10月…体育の日

11月…文化の日

12月…クリスマス、年越しそば

これ以外にも、春にはいちご狩り、夏には夏祭りや流しそうめん、秋にはさんまの塩焼きやバーベキュー、ハロウィン、冬には焼き芋や鍋行事、もちつき大会、にぎり寿司の提供、など、身体が不自由な方や認知症の方も平等に参加できて喜んでいただける食のイベントは、どこの施設でも取り組んでいます。

   

お年寄りはお刺身やお寿司が大好きで、提供するといつもよりもたくさん召し上がっていただけますが、衛生管理上、気温が低くなる10月頃から長くても4月下旬までしか提供できません。これもどの施設も同様だと思います。

ご自身のお父様、お母様に、大好きなお刺身を食べさせたい、というお気持ちは理解できますが、集団給食という立場上、できないこともありますのでご理解いただければと思います。

  

まとめ

特養でも全体の生活の流れと、食事の概要を簡単にご説明しました。

特養は、施設の特性上、『特別な何か』は少ない施設です。

「暇そうだ」と思われる方は、特養は早いのかもしれない?と一度立ち止まり、担当ケアマネジャーさんにご相談してみたほうがいいのかもしれません。

特養の平均在所期間は3.5年と聞きますが、入所して10年以上住む方もいらっしゃいます。

規則正しい生活を送り、バランスのとれた食事を召し上がっていただくことで、健康を維持できる方が多くいらっしゃいます。又、年齢に伴う身体状況の変化に応じて、食べやすい物や食べやすい形状の物、少量でもしっかり栄養が摂れるものをご用意し、提供できるもの、老人ホームならではのサービスだと思います。

  

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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